DAHONのシートポストにグリス塗っては駄目

 だいぶ前にこれをまとめておくべきだったのだが、なかなか投稿できないまま2年ほど経ってしまった。シートポストとシートチューブにグリスを塗らないことは初めてウェブで明かしたわけではないが、詳しくレポートしたことはなかった。同じようなことで苦労している人がいると思うし、情報を分かち合うことができて幸いだ。
b0113219_22512123.jpg 2010年8月、静岡県静岡市清水で行なわれたチャリティーライドに参加するため、富山の親ともども輪行と自走を繰り返しながら清水に向かった。河口湖駅から富士宮まで自走したおり、親が乗っていたMu-SLのタートルネッククランプのスキューアロッドのネジ山とレバーに組み込まれたバレルナットのネジ山が滑って飛んでしまい、クランプが効かなくなりシートポストがずり落ちてきてしまった。その日は応急的にバレルナットにロッドをねじ込み直し、やや緩めにクランプを締めて数十キロ走ってもらった。

b0113219_16293673.jpgb0113219_16293397.jpg ネジ山が削れている訳で後日のチャリティーライドでは途中で何度も応急手当をせざるを得ない非常に忙しない走行を余儀なくされた。その日の終わりに完全にシャフトとレバーのネジ山に充分な摩擦がなくなり、サドルの位置が定まらなくなった。写真は応急措置が効かなくなった状態、ネジ山の摩耗が激しい。

b0113219_1631545.jpgb0113219_16321541.jpg 仕方がなく自分のMu-EXのQRレバーと交換し、Mu-EXの方では後ろマッドガードのM6ヘクスボルト&ナットでサドルポストを固定。ネジとナットの長さと太さがちょうど良かった。マッドガードにはさほど強い締め付けが必要ないので問題のQRレバーで固定した。しかしこれでは通常の単純なシートクランプと何ら変わりはなく、Turtleneck SeatPost Collarのような非常に肉厚で大きなクランプが付いている意味がなくなる。輪行の際は面倒なのだが走行時にサドルが突然下がるのは困る。マッドガードを着けていてよかった。この件以来、マッドガード用と同じサイズのボルトとナットをお守り代わりにサドルバッグに入れている。

 このMuSLはそれまでほとんど輪行で用いていないので、折りたたみの操作を20回もしていない段階で破損が起こったことになる。しかも私よりも体重が15キロも軽く筋力もなく条件のいい場所を選んで走っている親の乗るDAHONで起こっていることだし、この破損は頻繁に報告されている事例でないらしく、穿孔やねじ切り、またはバレルナットの緩み止めのために施されているカシメなどの加工時にたまたま誤差が生じた不良品だったという判断がDAHON(アキボウ)のほうでもなされた。

 Mu-SLとMu-EXには同じ設計のシートクランプが付いているので、同じ使い方をしていて一方が壊れてもう一方が壊れていなかったのだから、クイックレバーとシャフトの接合部分の加工が良くなかったと考えるのは自然だ。しかしその個体差が出てしまうまでの大きな負荷を掛けてしまったのは、強くクランプを締め付けなければサドルがズルズルと下がってしまうということが原因だった。かなりの力でQRレバーを締めているのにサドルが知らぬ間に少しずつ下がるということは、ライダーの疲労や膝や足首の故障を防止する上で最大の弱点となる。また下がり方やサドルの回転の仕方によっては大事故にもつながりかねない欠点だと思う。さて原因はなんだろう?

 最近のDAHON 20インチに標準的の装備されているTurtleneck SeatPost CollarについてはDAHON.comの掲示板を始めとするインターネット上の様々なところで、かなりのトルクを掛けないとシートポストが下がると訴えているユーザーがいて議論がなされている。おそらく通常の(カーボンシートポスト以外の)スポーツ車の組み立てでは常識の「雨水の浸入を防ぎ腐食による固着防止にグリースを薄く塗布し~」というのをDAHONのポストあるいはシムの内側になされていたのだと思う。私もこれが始めての折りたたみ自転車だったのでポストにグリースが塗ってあることには何の疑念も挟まなかった。自分のMu-EXもメンテナンスの際に腐食防止のための薄膜程度にグリースの塗布してから布で拭き取っていました。MuEXの方は納品時からそうだったかは記憶していません。
 私の親は背が低いのでシートポストがシートチューブ下端から数センチ出ている。その部分に砂が付着してしょっちゅう拭き取らねばなりませんでした。折り畳みと展開のたびにシートポストを出し入れするのでグリスでベトベトのポストを乗車前に拭いておかないと服が汚れる。おかしいなとは思いながらも拭き取り用の布を持ちながら走りに出かけていたのだが、しかしデグリーサーなどで脱脂はしていませんでした。
 これがDAHONの意図に反したことだということがDAHON Folding Bike Forumsのいくつかのディスカッションを見ていて分かりました。一番参考になったディスカッションを引用する。このトピック "Slipping Seat Post"の2010年9月に私が閲覧したときまでの閲覧回数は2,775でけして少ない方ではありません。


TrailX
Mar 3 2010, 06:19 AM
Post #3

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QUOTE (amatildaj @ Mar 2 2010, 12:12 PM)
I own a 2008 Novara Flyby (made by Dahon). This is a similiar bike to a Vitesse D7HG, but has an 8 speed Nexus hub. I too am having problems with the seatpost slipping down as I ride. I greased the threads of the seatpost clamp and this greatly improved the slippage, but didn't completely alleviate the problem.

One question: the mechanics at REI want to put Ti-prep on the seatpost to keep it from slipping more. Is this a good idea? I'm not wild about it because I don't want to get it on my hands when I fold the bike. They insist that the seatpost should be greased with something (ti prep [for grit] or regular bike grease), but I've read on the forums that the seatpost shouldn't be greased. Is there something different about a folding bike that the seatpost wouldn't need grease? I definately grease the seatpost on all of my non-folders.

If this does not work, should I try a shim and/or replace the seat clamp? I've seen reference to the one's at Gaerlan's (http://www.gaerlan.com/dahon/misc.htm), but am unsure about the shim since I didn't have a plastic one to begin with. REI has been cooperative and helpful but they seem stumped.

Thanks for helping a newbie to the forums.

Amy

 この問題提起でもシートポストが走行中に下がってくることが訴えられており、アウトドア用具店REIの自転車整備士は、通常のスポーツ車の組み立てでは常識の「雨水の浸入を防ぎ腐食による固着防止にグリースを薄く塗布する」ということを主張しており、ユーザーはどうして良いか分からなくなっている。それに対する解答の一つがこれ。

Hello!

Thank you very much for posting your inquiry on the Dahon forum. Do not grease the seatpost or use Ti-Prep or any kind of friction enhancement lubricant. Make sure the OD surface of the seatpost and the ID surface of the frame seat tube (clean with a long rod and clean rags) are both free from dust-dirt-oil-contaminants and after lubricating only the threads of the seatpin and the cam on the QR handle, you should be "good to go."
In the future, if there is anything Dahon can answer for you or help you with, please do not hesitate to contact Dahon again.

Best regards, 
........................................................
Rick Fair
Technical Support l Dahon
E-mail: rickfair@dahon.com
www.dahon.com

「ダホン・フォーラム(USA)にご質問いただきありがとうございます。(折り畳み車の)シートポストには通常のグリースを塗布することもTi-Prepなどの摩擦強化ルブを塗布することも絶対にしないでください。シートポストの表面とフレーム側のシートチューブ内面は、どちらも油泥汚れがないように脱脂してください。シートチューブ内面はボロ布を棒で押し込んで通過させることで油分が残らないように清掃してください。シートクランプ周りでグリースを必要とするのはクイックリリースのシートピンのねじ山とクイックリリースハンドルのカム部分だけです。これで上手くいくはずです(クランプを過度に締め込まずともシートチューブをしっかり固定することができます)。」

 最後の訳文は質問文の内容を補って付け加えてあります。できれば上の文言にエタノールやデグリーサーをウエスに染み込まして脱脂するというような具体的な方法を付け加えるとさらに親切だったと思う。フォーラムにも他の人のアドバイスが同じ件に付け加えられていた。

以下はbikeforums.netで見つけたアドバイスです。
thorというのはThorUSAのことです。DAHONを専門に売るスペシャリストです。

no grease ... never
maybe in regular ( I mean old fashioned ) bikes its ok to grease ..not in folders

thor

このことがまだ一般に定着していないことがシートポスト周りの不満があちこちで見られる要因だ。DAHON.jpにはディスカッションボードがありませんが、2channelで同様のことがトピックとして上がっていた。すべての書き込みを見た訳ではなかったのだがシートポストとシートチューブの内側をデグリースするということは述べられていなかったようだ。

 脱グリースのことがDAHON OWNER'S MANUALに書かれているかどうかよく読み、念のため電子版の方をseatpostあるいはgreaseで検索して調べてみましたが記述はありませんでした。シートポストが下がる現象で悩んでいる人たちはこの情報が手近なところで得られないが為に解決できずに時間を無駄にしている可能性が高い。解決には情報を正式にウェブサイトや将来の取扱説明書には明記しないと駄目だ。

 私自身シートポストの沈み込みにはイライラし、グリースが必要なのか否かダホンが添付している取扱説明書やウェブサイトから直に情報を得られなかったので解決方法を得るのに非常に長い日時を費やすことになった。問い合わせたアキボウの方では私が経験した故障は報告されていないというが、口の悪い言い方をすれば、ダホンJPのほうに何も質問や意見が寄せられないのはDAHON.JPのウェブサイトが(リコール情報以外は)売るための情報の掲載に特化しているから、サポート情報を期待されていないのだと考えられる。DAHON.COMのようにSupportセクションを用意し取扱説明書のダウンロード、フォーラム、その他DAHONの調整方法などをDAHON.JPでもやってもらいたいと伝えたが、未だにDAHON JPは売るための情報提供に特化している。(しかしながら顧客からの情報を待っていないで自ら様々な場所でどんなことが問題になっているか諜報活動をしないとIT時代の企業は駄目だ。)

以下はアキボウにお願いしておいた内容だ。
 (1)DAHONのクイックレバー式クランプの付いたフォールディングバイクの購入時に付いてくるDAHONおよびアキボウのユーザーマニュアルに「シートポストにグリースを塗らないこと。シートポストやシートチューブとシム内面にグリースなどの油分が残らないようのにデグリーサーなどで脱脂すること。」などとその理由を追記または付加条項として別紙に印刷して差し込んでおくこと。
(2)DAHONの取扱店の方で間違いがないようにコミュニケーションを徹底すること。例えばシートチューブ上端近くかシートポストに「グリース塗布厳禁」の警告を貼る、組み立てマニュアルに明記するなど。
(3)すべてのDAHONユーザーが役に立てることができるように、DAHON.comおよびDAHON.jpにおいてシートポストおよびシートチューブにグリースを塗らないこと、納品時からグリースが塗られていた場合はシートポストとシートチューブの脱脂を行う(または販売店で行ってもらう)ことを周知徹底すること。
 DAHON.JPでは未だにQ&Aコーナーはない。FAQもない。先日、自転車事故の原因が製品の設計に原因がありメンテナンスの仕方も明らかでなかったとして製造・販売者の責任が認められ、損害賠償の支払が命じられている。ユーザーの安全のための情報はどんどんと明らかにしておく必要があるのではないのだろうか。

b0113219_16294220.jpg 2009MuEXのシートポストQRのシャフトは外してよく観察すると曲がってしまっていました。
 DAHONではシートポストにグリースを付けないように早急に広報すべきであると訴えたのだが未だに日本では説明書に記載がないのだろうか。ウェブサイトにはない。グリースを塗ったシートポストを固定しようとすると上の写真のようになるか、シャフトの破断か、すっぽ抜けが起こる可能性が高い。

b0113219_1631163.jpg デグリーサーを使って粘りの強い油分を表面から浮き上がらせて拭き取り、外せるパーツは洗剤で洗って完全に油分のない状態にする。シートチューブは布にデグリーサーや洗剤を染み込ませて何枚も押し込んで通過させ、油分がなくなるまで払拭する。

b0113219_16294672.jpg この部分にはグリースを塗った方が良い。(これらは両方ともMu-EX用。上は新品、下は必要以上に強い力で締め付けるのに何度も用いて曲がったり摩耗が著しい方)



 シートクランプは改善の余地はなかったのか

2009MuSLのシートポストQRはシャフトのネジ山飛びでだいぶダメージが酷い。症状が出た初日とその翌日はシャフトを何度かねじ込み直して何とか走行していたので。
いろんなクイックリリースレバーがあるが、シャフトがすっぽ抜けないようにする構造はいくらでもあると思う。
古典的なカム内蔵型はカムからシャフトが抜けるような構造になっていません。
最近普通の外部カム式ではハンドル内のバレルとシャフトの一体化の方法にいくつか違ったやり方があると思うが、DAHONのシートクランプのQRではねじ込んだ上にカシメてシャフトの回転を防ぐようになっている。これは安上がりだが、もっとも強度を稼げない方法だ。こういうところでも自転車の高価格に見合った精密なパーツを組み込んでもらいたい。

2009MuSLシートポストの太さの不均一
MuSLを輪行するため畳む際にシートポストを下げてクイックレバーを締めようとすると非常に固く、輪行の際は調整ボルトをすこし緩めてクランプを閉じる。このことから想像するにシートポストの上下の位置で太さに微妙な誤差があるとわかる。こういったシートポストの位置の違いによるレバーの抵抗感の違いはMuEXのほうでは気にならない。これが気になってSL用に交換品を送ってもらったが、大差なかった。シートポストにサドル用の台座を嵌入させるときに膨らむのではないかと思います。
b0113219_16295215.jpg この写真においてクランプの上に出ている部分は太いです。DAHONを畳む時にシートポストを完全に下ろしてクイックリリースハンドルを倒すときつくて閉まりにくい。この段付き形状は無い方が好ましい。理由は、折り畳み手順「1、2、3」のほかにクランプの締め具合を調節するというもう一つの段階が折り畳みと展開の際に付け加わって、触れ込み通りでなくなる(時間がかかる)。

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Commented by x20乗り at 2014-11-01 16:30 x
大変参考になる記事でした。これDahonだけじゃなくてクイックリリースでシート固定するアルミ製フォールディングバイクにとってひょっとしたら一般的なことなのかもですね。
Commented by hills_mountains at 2014-11-01 18:08
ありがとうございます。おっしゃる通りです。DAHON(アキボウ)の取扱説明書には明記されていませんでした。最近はどうなんでしょうか。
by hills_mountains | 2013-04-29 23:30 | 自転車メンテンナンス/修理 | Comments(2)

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