上北沢にて珈琲焙煎機を置いて自らコーヒーを焼いて売ったりドリッピングのワークショップを行ったりしている友人がいる。手付きザルを合掌に合わせて生豆を入れ、ガス火にかざして煎っていたが、最近次々と大小の焙煎機を駆使し世界各地のさまざまな農園の豆を仕入れては色々な焼き加減で焙煎し、日本各地でコーヒーのワークショップを行っている。同時にカカオ豆を焙煎するところから始めるチョコレートづくりワークショップまでやっている。
それら焙煎機を遊ばせておくのはもったいないと、焙煎機の使い方を4回の焙煎を通して習わせてくれる講習を東京に滞在中に行っている。この講習を終えて機械の使い方を覚えて豆を燃やすことなく安全に焙煎ができると認められれば、時間貸しで焙煎機が使えるようになる。今回使ったのは1度に400gの生豆を焼ける中型機。下から釜を加熱し内部でドラムを回転させる。それに排煙装置とチャフ(薄皮)を回収する集塵筒が組み付けられている。
ドラムを回すモーターとギアボックス。
豆の取り出し口から覗き見たドラム内部。豆が良く撹拌されるようにいろいろ溶接されている。今回の4焙煎とも焼むらがなかった。
この焙煎所では問題のある豆の除去をした後に豆を洗う。焙煎機の炉内温度はせいぜい200℃ぐらい。不純物質を焼き切って除去するには低温である。また豆への付着物は味を濁らすもとになる。手で豆を洗うように何度か湯で洗う。最後の洗いの際にもう一度カビ豆や未熟豆などを取り除く。洗うと問題のある豆が見分けやすくなる。こちらの豆はエチオピア モカ・イルガチェフェ ナチュラルG1 400g
豆を投入し炉の加熱を開始。
爆ぜの音を聞きながら火力を調整し、好みの焼き加減で焙煎を止める。同じ産地の豆でも収穫時期による水分の含み具合や粒の大きさなども違うし、気温や湿度は毎日違う。特に経過時間や温度の記録などをしない。炭焼きのようにじっくり腰を据えて作業できるわけではない。記録に忙しくしすぎると、自分の目論んだ焼き加減を逃して焼きすぎてしまう。温度計もあるが焙煎時はあまり見ない。音、匂い、煙の量、豆の色など五感を頼りにするのが一番良い。豆の焼き色の変化は豆の投入口から覗いてみる。
今回使用した豆:
タンザニア キゴマ ディープ・ブルー400gを2回。
コスタリカ ガンボア農園 レッド・ハニー 400g
エチオピア モカ イルガチェフェ ナチュラルG1 400g
すべて2段目の爆ぜの音が落ち着くまで焼いた中深焼きで酸味を抑え、ドリップで苦味を抑えて、コク深い味と甘い香りを楽しみたい。焼きたてをかじって食べてみると期待大なのだが、すぐに挽いてドリップしても美味しくないというので豆の中の気体の成分が落ち着くまで、1週間は寝かせておくことにする。月末にドリップの予定。