NHKスペシャル 調査報告 日本のインフラが危ない
2013年 08月 05日
全国で補修が必要な橋は68,800そのうち58,758が未着工である。通行止めにしている橋が232もあるという。
沖縄県国頭村(くにがみそん)では二十数年間一度も補修がなされていなかった辺野喜(べのき)橋が2009年に崩落。腐蝕が進んでいて2004年下旬に通行止めにしてから数年間モニタリングカメラで観察されている状態で何もされないまま放置され崩壊した。解体するにも脆弱過ぎて何もできなかったらしい。
茨城の鹿行大橋は老朽化していて先の震災の際に簡単に橋梁が外れて水没した。
番組中で抜き打ち点検された静岡県浜松市 秋葉ダム湖を国道152号が渡るための大輪橋の橋桁は右岸側で横ずれしていて落下の危険もあるという。この橋もここ十数年で何度も通過している。
猪鼻湖と浜名湖のつなぎ目、猪鼻瀬戸に架かる吊り橋(旧)瀬戸橋の橋脚のアンカーボルトが錆びていて固定能力がない状態になっているそうだ。この橋ももう10年も前になるがブルベで一度通過したことがある。すぐ横に新瀬戸橋が架けられているので、自動車の通行自体は激しくないし、狭い橋だから一度に何台も通過できる物ではないが、まだ継続して利用するなら補修が必要だ。
また高度経済成長期に作られた古い橋などは設計図面が保存されずに廃棄されており、それが元で適切な点検がされず問題が発見されていない可能性がある"点検済み"インフラが多いという。富山県富山市内の松川に架かる八田橋。道路中央のライトレールの通過する橋梁は新しいがそれ以外の区分は橋の構造が知られていなかったために点検の要所を2ヶ所見逃していた。この橋も早々の補修が必要であった。
トンネル工法が切り替わった昭和55年ごろを境にして、旧工法ではトンネル壁の上部裏側に背面空洞というのがあり、コンクリートと山体が密着していない例が多い。同様の工法で作られたトンネルは全国で4500(四割)あるといい、まだ詳しい検査が済んでない。
番組中で放送された事故があったR151東栄町の大和金トンネルは、ブルベで数回通過して豊根の宮島グリーンポートというレストランのようなところまで行っている。このトンネルは背面空洞による強度劣化でトンネル壁上部が落下し、その穴から山体からの土砂が落ちてきてトンネルを埋めてしまった。
番組では取材に応じた自治体でしか撮影をしていないが、案外身近な地域の通行経験のある道路で崩壊が起こったり崩壊の危険性が高い場所が多いことに驚く。自転車が崩壊の最後のきっかけを作る刺激を与えることにはならないと思うが、ダンプや大型トラックやバスが通過するとすごく揺れる橋もあり、そういう橋の場合は巻き添えに合う可能性も高い。トンネルの場合は落下物や出水や崩壊に伴う音など前兆現象を見逃さないように注意しながら通過する必要がありそうだ。