電動ドリルで竹材の曲面やムクロジの硬い種子に穴を貫通させる作業をしていると、ドリルの刃を材に当てて回転させた時に穴を開けたい場所から滑ってずれることが多くなった。ダイヤモンド目立てヤスリで少し研磨するとマシになったが、大きな工作物に使うドリルと違って、電動の手持ちドリルで使うドリルビットは細いから、手で研ぐのは大変だ。ホームセンターでもドリルビットシャープナーという1500円くらいの道具があるが、精度が低く、使い手の上手下手が結果に出やすい道具らしい。思い切って電動の研磨機を手に入れることにした。上の写真のうちAチャックのみが付属した製品を購入。これで切れ味が悪くなる都度、研磨できる。手持ちの電動ドリルで黒豆の大きさのムクロジにドリルの刃を突き立てて、最初に決めた位置から刃先が滑ることなく穿孔していければ、安全かつ快速な作業につながる。 説明書を見ながら刃先設定器でチャックにドリルを固定し、砥石を回転させておいて、前面の切削刃研磨口にチャックを差し込み研磨する。チャックを抜き180度回転させ再度差し込み、もう片方の刃を研磨する。上のシンニング研磨口からチャックを差し込み片方を研磨したら、抜いて180度反転させて差し込み、もう片方を研磨する。非常に簡単だ。ニシガキ ドリ研Sシンニング取扱説明書 ←クリックすると作業手順がわかります。
下の写真は研磨前。先端も切削刃もつるんとしている。穴が開けられないわけではないが、正確な作業は難しく、時間がかかる。 左右から研磨し、切削刃が研ぎ出され、先端が鋭い峰になっている。
Sシンニング研磨すると先端が錐状になる。下穴やセンタポンチなしに思うところに穴を穿っていくことが可能な刃になる。
この機器では2.6〜13mmのストレートドリルを研磨できる。2.5mmを研磨してみたが、なんとかできたようだ。研磨した2.5mmビットで非常に硬いムクロジに穴を開けてみた。黒豆のような球状の非常に硬い実の表面でも刃の滑りがない。硬い表面に刃が食いつくまで何秒も掛かっていたのに、一気に貫通した。
うちには、これで手入れできるドリルビットが十数本しかない。もしうちだけで使うなら大変もったいないことだが、里山林作業グループでもドリルは多用している。それらも研ぐことができるので宝の持ち腐れということにはならないはずだ。