電動のミシンも足踏み式のミシンも小学校の頃に使ったことがある。しかし、しばらく使っていないうちに上糸のかけ方や下糸のボビンの巻き方や釜へのセットの仕方も忘れており、知り合いから家庭科の教科書を借りてコピーしなんとか使えるようになった。しかし、最近では針や布送りの動きはコンピューター制御になっており調整つまみなどが少なく、糸通しなどの作業は自動になっているか非常に楽になっているようだ。
うちにはJANOME 670というたいへん古いが耐久性の高いミシンがあり、ちゃんと動く。わたしは生地を買ってきて服を作るということはないが、服のメンテナンスや古布のリメイクに使うことから始めている。メーカーのサイトで取扱説明書のコピーのダウンロードもできて、全機能を使いこなせそうだ。 しかし、なんとなく調子が変だったし、汚れや埃が目立つので清掃と注油をすることにした。
油は腕時計やカメラにも使える精密機械用のオイルを用いた。普通の透明の油で匂いもなく、油差しで1滴づつ出せるもの。
以下の部分は針などを上下させる機構で、どの部品も非常に動きが大きいため、注油箇所が多い。自転車用の強力なバッテリーライトで照らしながら、まずは埃や汚れが溜まっているところを百円ショップで買った消毒用アルコール綿で拭い取る。油が乾いて蝋のようにこびりついている注油部分は古い油と汚れを洗い流すために、ウエスを当てがってパーツクリーナーを少し吹き付けては手ではずみ車を動かしてシャフトやピストンを動かして汚れを溶かし出す。黒っぽい油を払拭して注油する。摩擦が生ずる隙間以外にはみ出た油は綺麗に拭い取っておく。 ミシンの下部には布送りと下糸釜を動かす機構が見られる。鉄板で蓋をされている部分には歯車がたくさん入っておりグリスが詰められていることが予想されるが、サービスマニュアルがないので開けないことにした。こちらでもパーツクリーナーを少量使って綺麗にした後、注油した。
この機械部が乗っかっている樹脂製の器のような基礎部分には糸くずがたくさん落ちていたので掃除機で吸い取れるものは除去し、油汚れとともにこびりついた粉塵状のものは消毒用アルコール綿で払拭した。ここはかなり汚れていた。
糸くずの汚れが一番溜まっているのは布送りの裏側だ。下糸ボビンを納める釜の部分も簡単に分解できるし、ごく微量の油が必要な場所が一つある。
この写真は釜を組み戻した後に撮影。布送りは表からネジを抜いてステンレス板を外せば上から清掃できるが、釜を分解すると繊維がフエルト状に詰まりやすい部分が見える。釜は手で分解できる。釜から外せる部品を抜いて清掃したら、ついでに布送りの裏側の繊維屑をブラシで掻き出して、落ちてきた塵芥を掃除機で吸い取るのがいいだろう。
取扱説明書には頻繁に使う場合は一週間に一度を目処に注油するように書かれている。しばらく使っていなかった時も注油してから使うように書かれている。
ジャノメの取扱説明書は古いものでもダウンロードできる。私が手に入れたものは印刷された説明書を複写したものをPDFファイルにしたもので、図版など少々読みづらいところもあるが、機械実物を目の前にして読む限り、なんの問題もない。
清掃と注油が済んだミシンは古い時代の工業油の匂いも薄れ、見た目もきれいになり、何より音と振動が小さくなった。低速や動き始めも滑らかになった。やっぱりメンテナンスは重要だ。