カリタのダイヤミルNはデザインはいいのだが、セラミックミルを使い慣れていた身にとってはなんでこんなに時間がかかるんだろうと呆れてしまうくらい時間がかかる。なので下の写真の回転軸部分の砕き歯が豆に食い込むようにした。それによって豆の吸い込まれる速度は格段に上がった。しかしもう一つ気になる点があったので今回はそこを改善しようと試みた。
回転軸につけられたバックホーの爪ような刃に引っ掛けられて写真右寄りの方に見える金床状の部分に押し当てられて大まかに粉砕されたコーヒー豆は、側面のミル(臼)部分を通過するうちに粉砕されて粒状になる。この臼部分もあまり角が立っていないので、挽き割りだけでなく擦れも生じて粒に混じって細かい粉がたくさんできてしまうのではないかと考えた。歯は鋭角ではなくても角が立っていなくては一点に力が集中しないので物が割けない。
豆の断片は写真の洗濯板状の臼の歯を横断するように開けられた溝を伝って落ちるうちに、下の図のように三角の断面に挟まれて細かく砕かれる。溝の部分で峰状の歯の三角の断面があり、ここが鈍だと駄目なんだろうなと考えた。 ダイヤモンドヤスリで三角の断面全体を真っ平らに研いで二辺の角を出して、潰す・擦るというよりも断つ作用を発揮できるようにした。よく輝いている面は研磨済み。梨地のようなのは鋳型から出したそのままの面で研磨前。三角の2辺も面取りされたように丸っこい。ここを角張らせる。 このちょっとしたことによって挽き落とされたコーヒー豆の粒は大きさ・形に均一感が増した。またミルの中に溜まる微細な粉末の量も減った。
カリタ ダイヤミルNの様々なレビューを見ると、豆が全て挽き落とされるまでにえらい時間がかかるのでたっぷり時間があるときにしか使えないようなことが書かれているが、金属の刃物は納品された状態が最適な状態とは限らない。特に鋳物は精度が高くない。力を一点に集中してきれいに物を砕いたり断ったりするには、鋭利にするために研ぎが必要だ。もちろん出荷前にも研いである部品もあるが、今のところ必ずしも最良の仕事とは言えないので、利用者が自分で工夫するしかない。
2回の改善で豆挽きの所要時間がえらく短くなった。豆を上から指で押しつけても時間が掛かっていた頃が信じられないくらいだ。