ママチャリの後輪タイヤ交換とメンテナンス

 8月後半かなりの長期にわたって帰省先で留守居役を勤めたおかげで、買ってからほぼ毎日かなりの距離を走らされ酷使された新車ママチャリ26インチ一台と、さして酷使はされていないがメンテナンスらしきものはほとんど受けずに20年近く利用され、一度大雨による増水で泥水に一晩浸ったことがある24インチのママチャリ1台の、後輪のタイヤ交換を含む整備をやってきた。
 まずは26インチの方。数回のパンクに見舞われ、最近短期間に連発するのでタイヤを交換することに。後ろタイヤは減りよりも異物が刺さって抜け落ちた細かい穴やゴムの劣化によるヒビがたくさん見られた。適合リム型とサイズが同じなので後輪にランドナー用を履かせることにした。リムフラップもMTB用を揃えた。
 
 まず、チェーンカバーの後部を開け、歯車とチェーンが見えるようにする。両サイドのナットを緩め、チェーンを弛ませるためにチェーン引きのナットを緩める。コネクティングリングを抜いてチェーンを切る。専用工具は要らない。ロングノーズプライヤーだけで済む。
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 拡大した写真がこの二つ。
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 チェーンを外して洗浄するなら特に気を使うことはないが、そのつもりがないならあらかじめ針金を用意し、歯車からチェーンが落ちないようにコネクティングリングを抜き、ピンが抜けたチェーンの両端の穴にそれぞれ針金を通し、ステーに固定しチェーンカバーの中に脱落しないようにする。
 今回は洗浄するためにチェーンを取り出した。チェーンをペットボトルに入れ、オレンジバイオソルベントを少し注いで蓋をし振って洗浄する。あまりにも汚れが酷かったので、黒くなった洗浄剤をボロタオルに吸わせてから、ボトルに水を注いですすぐ。追ってそれを2回繰り返し、やっと泥油汚れがきれいに落ちた。KMCの打刻が見える。水気を拭き取ってからそれは置いておいて、次の作業に掛かる。
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 作業スタンドがなかったので、ベルトとアルミの脚立でボディーを吊って後輪を浮かせての作業。内装3段変速器、ダブルスタンド、荷台と泥よけのステム、ローラーブレーキ、チェーン引き(左右両方)と、まあ数多の物がハブ軸に通っていて、それらを両側からナットで押さえている。順番やパーツの向きを忘れると困るので、よく観察し要所要所で写真を撮りながら分解する。最後にブレーキの固定バンドとワイヤーを外し、エンドから後輪のハブ軸を脱落させる。後輪には右に歯車(フリーコグ)、左にはローラーブレーキが付いたままの状態で、タイヤ交換をする。
 
  今回はリム内部のニップルの頭を覆い隠すリムフラップも、摩擦や圧迫で切れやすいブチルゴムから Panaracerの固めの物(緑の透過素材)に交換。ママチャリにも、こういったスポーツバイク用品も転用できる。ママチャリのようなリムの形状だと15mm幅は少々広めなのでリムの底に片寄りなく収めるのに少し手間がかかるが、よれよれのゴムより丈夫な方がいい。
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 買ってきた三星のチューブを見たらバルブが仏式だった。仏式は英式よりもバルブ軸が少し細いのでリムのバルブ用の穴と軸の間に遊びができてしまう。アダプターが必要になってしまうので、今回は使用せずに置いておいて、パンクしたことがない前輪のチューブを後輪に装着し、後輪のチューブにパッチを貼ってパンク修理した物を前輪に装着することにした。通常前輪にかかる負担の方が遥かに軽いからである。
 前輪からチューブを取り出すついでにリムフラップも交換。前輪はタイヤはそのまま使う。後輪にコル・デ・ラヴィを履かせ、元前輪のチューブを収める。前輪にはパッチだらけの元後輪のチューブを収める。
 フォークに前輪を固定する。後輪をエンドに戻し、分解と逆の手順で組み付けていくが、自転車整備用のスタンドがないため、結構面倒でかなり時間がかかった。整備スタンドのかわりに何かを応用する場合は完全に固定し安定させることができる物の方がいい。ハブ軸のナットは完全に締め込まずに仮止めする。

  チェーンリング(前歯車)が見えるようにケースの一部が開くようになっている。ネジを一本外してクランク周りのドーナツ状の蓋を外す。ペダルがあるとドーナツ蓋は取り去ることができないが、ペダルを取るのが面倒ならそのままペダルの軸のところにぶら下げておいてもいい。前歯車の表だけでなく裏にもウエスを突っ込んで拭き掃除する。パーツクリーナーで溶剤を裏表に吹き付けて洗浄し、滴り落ちてきた泥油汚れをウエスに染み込ませるとなお良いだろう。針金をチェーンの端に通して固定しチェーンケースの後ろからひもを通すように針金を先導させチェーンを前の歯車の方に引っ張る。前歯車にチェーンを掛けたら針金を後ろに送る。チェーンのもう一方の端がチェーンケースの中に引き込まれたら、最初からやり直しになる。こちらの端も針金で固定し引き込まれないようにしておこう。チェーンをコネクティングリングでつなぐ。
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 チェーンの弛みを取るためチェーン引きのナットを締めたり緩めたりする。チェーンの張りを調整したら左のチェーン引きナットも締めたり緩めたりしながらハブ軸をフレーム中心線と垂直になるように(タイヤがフレーム中心線と一直線になるように)調整する。これも慣れるまでは時間がかかりそうだ。タイヤが進行方向にまっすぐ向いてチェーンの張りがちょうど良い具合に決まったら、ハブ軸のナットを本締めする。
※チェーンの張り、これも分かりにくい。分解する前にチェーンの張りを確かめておく方がいいが、長年メンテナンスをされずに伸びきったチェーンの場合は作業の端から弛んでいるので参考にならない。しかし、当然のことながら作業前より張りが緩いということはあってはならない。緩すぎるとちょっとした段差でチェーンが弾んでケースに当たってカシャンカシャンと耳障りな音を立てる。張り過ぎると摩擦が大きくなりクランクを回すとゴリゴリとした感触や摩擦音が大きくなる。
 ブレーキにワイヤーを固定する前に、ついでなのでワイヤーを抜き取り、よくウエスで拭く。アウター(ワイヤーの鞘)に数滴オイルを入れ、ワイヤーにもオイルを指で薄く塗りながらアウターに戻す。ブレーキレバーやアウターの端の辺りのワイヤーが強く擦れるところにはグリースを塗布。ブレーキにワイヤーを固定しブレーキレバーの引き幅(遊びの量)を調整する。

 結構時間が掛かったが、タイヤ交換のついでに掃除したのでかなり奇麗になった。実際、タイヤやチューブの交換でもない限り、大掛かりの掃除はできない。ママチャリはチェーンや歯車が完全にケースに入っているが、雨中または雨上がりの走行でかなり路上の砂塵が水と共にケースの中に入ってくる。ケースの後部が簡単に開くので、チェーンに注油することはできるが、普段は拭くこともままならないため、ドロドロの汚れの上から油を注ぐことになり、沢山の砂を纏ってジャリジャリとチェーンと歯車を研摩していくのである。中には一度も注油できずに錆びさせてしまう者も多い。チェーンの伸び(寿命が尽きた状態)はメンテナンスしやすいスポーツ車よりママチャリの方が早く訪れるだろう。今回は新品チェーンと比較してもまだ伸びは見られなかった。これまで掃除はしなかったけれど注油だけはしていたからだろう。
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 かなり前だが、日用品を分解して仕組みを探るという写真の多い図書『「分解!」 日用品・自転車を分解してみると! 〜分解!-壊せば道理が見えてくる』を読み、その中にママチャリの分解があった。分解してはいけないところまでも解体し内部の仕組みを見るという目的で編まれた本であり、ダイナモやバンドブレーキの解体なんてページもあるが、そういう一部を除き 自転車の章はメンテナンスに使えるように編集してある。
 今回の作業前日 自転車修理のコツという自転車店のサイトのページを一読した。工程の写真が小さいが、スポーツバイクでパーツの取り外しを伴うメンテナンスをよくやっていれば理解に難くない。

今まで空気入れと注油以外の自転車整備を行ったことのない人へ
 この投稿はどちらかというとある程度スポーツ自転車のメンテナンスに慣れているが、ママチャリの後輪は面倒くさそうなので今まで避けてきたというような人向けに書いた。この投稿だけを参考に全くの初心者が作業をすると途中で分からなくなることが多いと思う。分解を始めて元に戻せなくなっても作業者自身で責任を取らなくてはならない。
 ママチャリの後輪と駆動系周りは余計な物がいろいろ付いているから、スポーツバイクより手間がかかる。ウェブサイトにせよ参考書にせよ、写真や図版を見て説明文を読んでみて自信が持てなければ、自分で作業するのは諦めたほうがいい。自転車店に持っていって作業を依頼し、その場で作業を始めてもらえるならば邪魔にならないところからよく見学しよう。手順や工具の種類だけでなくどこのボルトをどんなふうに締めているかなど非常に微妙なところを良く覚えておかないといけません。指だけで締めているか、小手先だけで締めているか、片手で工具を握っているか両手で握っているか、体重を掛けて強く締め付けている場合どんなポーズで作業しているか、といったことはボルト締めに必要なトルクの掛け方を学ぶ一つの手ですが、そのプロが作業したボルトを外す時に必要な力加減なども、組み付けるときに重要な手がかりになる。そして、自分が締め付けたボルトをプロが外すときに「緩過ぎる」「ちょっと緩い」「締め過ぎ」とかいうコメントなどを聞くとまた自分の中で力の入れ加減を修正していける。いい加減にやると元より走りが悪くなる可能性もあり、寿命を短くすることに。時間をかけて間違いのないようにやる自信がない場合は諦めよう。ナットの締め具合一つ取っても、それぞれに必要な締め付け具合があってただ力の限り強く締め付ければいいというものでもない。不足しても危ない。
 ナットの締め具合を指定できるトルクレンチがあれば使った方が良いが、ママチャリをはじめとする一般車のパーツの締め付けトルクはユーザー用の説明書に記載がないのが普通だと思う。自転車を買った店の自転車整備士に聞くのが一番だろう。パーツの素材(アルミか鉄かなど)によっても異なるのだが、トルクレンチを持っている場合はスポーツ車の該当箇所のボルトとナットの一般的な締め付けトルクを参考にしてトルク過不足にならないようにする。

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by hills_mountains | 2007-08-25 23:59 | 自転車パーツ・用品 | Comments(0)

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